絶対日記『REWRITE』

考えてみたら漫画喫茶など、二千円でもなんとかなる方法はあった。しかし誠の気持ちは、少しでも麗菜に良い思いをしてもらいたかった。考えが薄く突発的な自分の行動に、あきれ果てる誠。そのとき、一緒に出てきた男二人の会話が耳に入る。

「いぇーい、８万勝ちー」

「ええなぁ、俺なんか１万勝ちやで」

「ヤバかった、１４連荘やで！」

「何か、おごってや」

笑い声が聞こえる。その声に、苛立ちを感じた誠は、男たちをギロっと睨んだ。その誠に気づく男たち。

「何や、あいつ…負けたからって、僻むなよ」

「アホ、関わんな」

その言葉に誠の怒りは頂点に達した。

「おい、オッサン」

誠が男たちに声をかける。

「何や？」

その声に、誠の方を見る男たち。誠は、カツアゲしようとしていた。そのとき、麗菜の言葉が頭を過ぎる。



『俺はお前を、そんな事してもらう為に助けたんちゃうぞ』



「うっ…」

思わず、涙が出そうになる誠。おそらく、こんなやり方で金を得ても麗菜は受け取ってはくれないだろう。

「何も、無い…」

誠はそう言うと、男たちに背を向け、歩き出した。

「何や、あいつ…」

「ほっとけ。負けて、僻んでるだけやって」

誠の背中に、声が聞こえる。しかし、誠は気にしなかった。

「…あ！」

誠は慌てて携帯電話を取り出すと、田島の番号を押した。


……そうや、借りればええ！