「そう言えば、最近ため息増えたなぁ……」

そう呟きながら、その場に座って日記帳を開いた。

「麗菜…一体、どうするつもりやろう……」

方法があると言ったときの麗菜の表情は、自信に満ち溢れていた。

「まぁ…信じるか、あいつを!」

麗菜は、いつもそうだった。絶対に成功するとき……そんな自信があるときは、決まっていつもあんな表情をする。誠はその麗菜の顔を、信頼していた。

「とりあえず、何でもいいから日記書かなあかんな。ルールを破ったらあかんからな」

誠はペンを取り出すと、日記を書いた。




9月18日 予想日記
朝起きると、8時丁度だった。




「何でもいいわ、昨日と同じで!」

誠はペンを置くと、布団にドサリと転がった。

「……」

一つ、気になっていた。

「麗菜…」

麗菜は友美が死んだ後、公園にいるとき、追い詰められているような感じだった。明日で死ぬはずの、誠よりも……

「どうしたんや…麗菜……」

無言が多く、何か重要な事を決めようとしてるような…そんな感じだった。

「まっ…明日にでも、聞いてみるか」

誠はそう呟くと、目を閉じた。そのとき来る、恐怖。もしかしたら、明日死ぬ。閉じたまぶたの裏に、自分の死に様が映る。

「……!」

誠は勢いよく起き上がると、首をブンブンと左右に振った。

「アホか、俺…麗菜を、信じるんやろ」

自分に言い聞かせる誠。しかし、死の恐怖というものは、とても膨大な存在だった。

「…麗菜。もし、作戦が失敗して俺が死んでも……お前のせいじゃ、ないからな」

天井に向かって微笑むと、誠は再び布団に転がった。