「それだけで……」

麗菜はその誠のセリフに、唖然とした。

「それしか、仕様が無かったんや。今回は、ホンマにわからんかった。日記の力は、考えてたら底なしや。やから、このスリーの犯した唯一の隙を頼りに、こうするしかなかったんや」

「…もし、友美ちゃんじゃなかったら……」

「…そのときはまさに、死んでお詫びやな」

そう言う誠は、心底ホッとしていた。推測が間違っていれば、手がかりがなくなって今度こそ確実に死んでいた。

「友美ちゃん…」

ゆっくりと友美を見る誠。

「なんで、こんな事…」

「仕様がないやん!私、モテるんやから!降りかかる火の粉を、掃ってるだけやん!」

その言葉に、意味がわからない二人。

「どういう事や?」

誠が聞く。

「言っとくけど、自慢とかじゃないから。南原誠。あんたも日記の力で、私と仲良くなったんやろ?」

「え?」

その言葉に、ギクッとする誠。

「この気持ち、わかる?!好きでもないはずの男を、勝手に好きにさせられて……」

「え?何?どういう事や?」

わけがわからなく、そう言う麗菜。しかし誠には、思い当たる。

「三富千里の彼氏も、そうやった」

「え?」

それに驚く誠。

「彼女がいながら、日記の力で私を誘惑した」

「え……」

「そいつだけじゃない。男は皆日記を持つと、日記を使って私と仲良くなった。せいぜい、『学校のマドンナと仲良くなる』とか書いたら私になるんやろ」