誠は友美から手を離すと、麗菜から日記帳を受け取りパラパラとめくった。

「なるほど……」

その内容は、驚くべきものだった。まさに、日記の鬼才だ。

「麗菜、ちょっと友美ちゃん、逃げへんように見といてくれ」

「お、おう……」

誠は日記を一通り見終えると、麗菜に言った。

「まず、千里ちゃんを会話の途中で、どうやって消したか」

誠は友美の日記帳の1ページを広げ、麗菜に見せた。

「え……」





千里がセリフの初めに『それは』と言ったら、一時的に消える。消えると、この紙切れが千里の消えたところに落ちていた。





「こうする事で、いかにも会話を聞いていたかようにできる。そして、人の日記を書くのは、簡単な事や。できへんかった事は夢で出来るから、前日に書いとけば夢で遂行される」

「でももし、友美ちゃんが『誠の日記の内容が、朝起きると確認できた』とか書いてあったらどうしててん?」

「それでも一緒や。日記に書いた事は絶対やから、友美ちゃんが朝挨拶する事は逃れられへん」

「じゃあ、もしホンマに日記の力で会話を聞いたりできとったら、どうしてたんや?友美ちゃんとは、確定せぇへんかったはずや」

「やから、推測。推測や。俺が今言った事全部、推測や。ハズレたら、死。当たれば、勝ち。勝算なんか、無かった。友美ちゃんがスリーに、一番近かったってだけや」