「本当ですか?今日も、キャンセルとか無しですよ」

「わかってるよ」

「やった!じゃあ、また放課後」

友美はそう言うと、スキップぎみに校舎に入っていった。

「誠ぉ。なんや、なんや?どうやってあんな可愛い娘、ひっかけたんや?」

「麗菜」

「あ?」

誠は突然カバンから数学のノートを取り出すと、急いで走り書きを始めた。

「なんや?急に、何してんねん、誠」

誠は震える手で、麗菜にその文字を見せた。

『麗菜。あいつが、スリーや。会話やと、あいつに聞かれてるかもしれんから、ノートに書いた。放課後、あいつの日記を没収する。手伝ってくれ。俺と一緒に、来てくれるだけでいい』

麗菜は読み終えると、静かに頷いた。





放課後。
誠は、まだ信じられなかった。しかし、信じるしかない。これは、現実だ。

誠と麗菜は校門に向かった。そこには、すでに友美の姿があった。

「おまたせ」

誠が言った。

「あれ?麗菜君も、ですか?」

「うん、三人で帰ろ」

誠はそう言うと、そそくさと歩き出した。それに続く友美、麗菜。

「二人で帰りたかったなぁ……」

そんな事を呟いている友美。ある程度歩いて人影が無くなった頃、誠は急に立ち止まった。