「それにね、さっき悠、何て言ったと思う?」
「・・・何が?」
「“時が止まる場所”って、ちらっと言ったんだよ。それだけでも、ぜぇったいに怪しいよ」


 ・・・確かに。
 だんだん、美樹も不安になってくる。


「ね、ねぇ・・・やっぱり、ここにいた方がいいんじゃない?」


 おずおずと、美樹は言った。
 だが、彩はまたかぶりを振って。


「もう遅い。迎えが来るって言ってたし」


 ここまで完璧にされれば、もう諦めるしかない。
 美樹は、覚悟を決めた。


「・・・カルボナーラ、作るね。食べたら出掛ける準備しないと・・・」
「出来たらゆっくり食べたいよなぁ・・・カルボナーラ、今度いつ食べられるかわかんないし」


 そう言って、彩はカウンターに突っ伏した。