「・・・ごめんね、彩」


 ドアが閉まり、2人の姿が見えなくなると、美樹は言った。
 カウンターの椅子に座ったまま、彩は力なく首を横に振る。


「いいんだよ。美樹の言うこと、よく分かるから。それよりも、これから何処に連れて行かれるのかが・・・」
「まさか、海外とかじゃないよね?」


 真剣に言う美樹に、彩は苦笑する。


「違うよきっと。でもね、よぉく考えてみて。今この時代に、この国のどんな辺境の山奥だって、電気が通じない場所なんてある?」


 言われてみれば、そのとおりだ。
 この小さな国で、生活出来る場所に電気が通っていないなんて・・・考えられない。