「悠、美樹は?」
「まだ店で色んな手配をしてるよ。手伝ってあげたいけど、やっぱりそこは美樹ちゃんじゃないと分からないからね」


 そっか、と、彩は頷いて。


「ちょっと様子、見て来る」


 バケツの中に雑巾を放り込むと、彩は店に移動する。
 と、美樹が受話器を置いてこっちを振り返った。


「彩。そっちはどう?」
「大体片付いたよ。今日の夕飯は、ゆっくり食えそうだな」
「そう、ありがとう」


 少し疲れた様子で、美樹はそう言うと、カウンターの椅子にもたれかかった。


「疲れてる?」
「うん、少しだけ」


 美樹は苦笑する。