分かった、と、取り敢えず座れるようにテーブルと椅子を元に戻して、ようやくみんなは夕食にありつけた。
 和気あいあいとテーブルを囲むこの雰囲気が、彩は好きだった。
 もう、彩が帰ってくる場所はここしかないのだ。
 美樹は当たり前のように「おかえり」と言ってくれるが。
 今になっては、この言葉がたまらなく嬉しい。


「彩? どうしたの?」


 そんな彩に気付いた美樹が、こっちを見て言った。


「ん? あぁ、おかわり!」
「はいはい」
「美樹さん、あたしも~!」


 笑顔でシチューをよそう美樹。
 冷えて疲れ切った身体に、力が湧いてくるようだった――。