海岸のアヤカシは、諒と五分くらいの力を持っている。
 だが実体化している事と、低級なアヤカシの数を考えて差し引きすれば、少しだけこっちの分が悪い。
 そうなれば、彩もまた無茶をする可能性だってある。
 何とかしてこの状況を打開するには。
 イチかバチか、美樹1人に意識を集中させて、力付くでも美樹を引っ張り出してみるしかない。


「友香ちゃん」


 悠は、友香に声を掛けた。
 目を開けて、友香は悠を見る。


「少しだけ、美樹ちゃん1人に集中しようと思うんだ。だから」
「大丈夫。早く美樹さん、助けてあげて」
「・・・ありがとう。俺から離れないで」


 友香は心持ち緊張した表情で頷いた。