「美樹ちゃん・・・」


 ソファに寝かせたままの美樹の手を握りながら、悠は目を閉じて呼び掛ける。
 隣では、ガタガタと揺れるテラス戸を、友香が不安そうに見つめていた。


「悠さん・・・」
「心配しないでね。多少衝撃はあるけれど、今のところアヤカシが俺の防御壁を破って侵入してくる事はないよ」


 悠は、敢えて友香に正直に言った。


 まだ何も分からない友香には、具体的に言った方が安心すると思ったから。
 友香は少しだけ笑顔を見せて、美樹の肩にそっと手を置いた。


「美樹さん・・・頑張って」


 目を閉じてそう呟く友香に、悠は笑みを浮かべて。
 そして、意識を集中させる。