それはそれでありがたいのだが、この2人が悠と諒、それに彩をあんな目に遭わせた事を思うと、複雑な心境だった。
 美樹は少し目線を上げて、空を眺める。
 確かに、細い糸が絡み合ったような結界が自分たちの周りを包み込んでいて、低級なアヤカシ達も近寄って来れないのが分かった。
 こっちに向かってまだ頭を下げているこの2人に 、美樹は視線を戻す。


「あなた達の言いたい事、少しは分かったけど・・・やっぱり、許せないわ」


 そう言われて、2人は明らかにピクリと身体を震わせた。


「でも・・・もう過ぎた事だもの・・・今更・・・」


 今ここで2人に復讐しても、悠と諒が戻ってくる訳ではないのだ。
 また込み上げてくる涙を、美樹は必死で堪える。


「ホントに・・・大事な人なの・・・それなのに・・・」
「お姉さん・・・」


 そんな美樹の気持ちを悟ったのか、女の子も、悲しそうにこっちを見た。
 群がってくる低級なアヤカシを、男の子は攻撃する。


「俺達さぁ、ちゃんと守るから。いくら弱いからって、それくらいできるよ。だからそんなに・・・悲そうな顔するなよ」


 男の子にそう言われて、美樹は苦笑する。


「だから、その原因を作ったのはあなた達でしょ」
「ごめんなさい!」
「スミマセンでした!」
「・・・もういいわ」


 目をこすり、美樹は言った。
 ここで許さなければ、このパターンが永久に続きそうだ。