「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい!」
「ホント、すいませんでしたっ!」
「ち、ちょっと・・・なに?」


 美樹は慌てる。
 学校にいたアヤカシの仲間なら、悠や諒をあんな目に遭わせた張本人だ。
 だが、この腰の低さは何だ?


「ホントー、絶対に消されると思ったんだけどー、なんか見逃してくれてー」
「確かに、アイツをボコボコにしたのは俺達だけどさぁ」
「道が開いたからあたし達ー、もう帰ろうと思ったんだけどー、来てみたらなぁんか、スゴい戦いしてるじゃないー?」
「だよなぁ。あんな戦いしてる場所通って帰ったら、俺達も危ないからなぁ」
「でもー、早く帰らないとこっちで実体化してるのも限界だしー」
「だよな。なんたって俺達、力弱いもんな!」
「ねー!」


 そう言ってキャハハと笑うこの2人を、美樹は呆然と見つめている。
 少し考えないと理解できないこの会話を、何とか自分なりに解釈すると。
 道が開いたから帰ろうとしたけど、その場所であんな高レベルな戦いが始まっていて、怖いから帰れない、と。
 悠はあの時、真っ先に屋上に辿り着いていたのだから、この2人を見逃したのは諒と彩だ。
 だから謝って、とりあえず美樹の身を守ってくれると言っている。