「リュウ!」


 目の前に現れた男に向かって、彩は思わず叫ぶ。


「おトキさんから聞いた。いい名前くれたんだな。ありがとな、彩」


 肩越しに振り返り、リュウは軽くウインクをしている。


「でもどうして・・・」


 美樹に支えられて起き上がりながら、彩は聞いた。


「俺が愛する可愛い2人のピンチに駆け付ける。当たり前だろ」


 また訳の分からない事を言っている。
 おトキさんのいる場所で会ってから、まだそんなに時間が流れてはいないような気がするが。
 彩はチラリと、美樹を見た。
 リュウとこんなに早く再会できるとは思ってはいなかったし、あの滝から飛び降りてしまった事を何となく美樹に知られたくなくて。