「・・・消えるがいい」


 その言葉と共に、アヤカシは最大級の攻撃を、2人に向かって放った。
 はっとして、美樹は振り向く。
 彩は何とか美樹を庇おうと必死で。


(ヤバい・・・!)


 動かない身体。
 避けられないと思った、その時。
 アヤカシの攻撃は、2人に届く直前に跡形もなく消滅した。


「え?」


 彩は目を見張る。
 2人の目の前には、左手をポケットに入れたまま、右手だけを前に突き出して立っている、黒いパーカーの男。


「俺の可愛い女たちに手ェ出して、無事で済むと思うなよ?」


 パーカーのフードは、今は被っていない。
 少し長めのストレートの髪の毛が、潮風になびいていた。