「ね、悠くん」


 ふと、美樹が声を掛けて来た。
 振り向くと、美樹はおたまでシチューの鍋をかき回している。


「なに?」
「わたしの力・・・無くなったりはしないのかな?」


 視線を上げずに、美樹は言った。
 悠はクスッと笑う。


「その質問はね、鳥は何で飛べるのかって聞いてるのと同じだよ」
「悠くん・・・」
「彩もそうだけど、その力は持って生まれたものだから・・・きっと、無くなりはしないんだろうね」
「そうよね・・・」
「でもね、そのおかげで俺達は出会えて、今こうやって一緒にいるんだよ。俺は…この事には、感謝してる」


 美樹は顔を上げた。
 悠は、こっちを見つめて笑っている。
 思わずつられて、美樹は笑顔を作り。