自然の結界であるこの場所で、これだけの力を発揮出来る存在はごく限られている筈だ。
 相当強い力を持った存在。
 彩の知る限り、そんなに強い力を持っているのは、美樹とこの男だけだ。
 悠や諒でさえ、この場所には来る事すら出来ないのだから。


「最初はな、消そうと思ってたんだよ」
「美樹を?」


 悪びれもせずにそう言う男に彩は、眉をひそめた。


「あぁ。俺は美樹の強い力が邪魔だったし、どうせここに来るならこの場所もついでにぶっ壊しておこうと思ってな。俺達アヤカシにとってこの場所はな、あまり面白いもんじゃねぇんだ。あの時は美樹の力が発動しかけてたから、その力を利用すれば簡単だと思ったし」