「トキ婆・・・」
「何じゃそのリアクションは。バカがつく程元気で、何があってもへこたれないバカさを持っているのが小娘、お前じゃろうが!」
「痛い! 何回も叩くな婆さん! それに何でバカバカ連呼してんだよ!」


 よく見ると、おトキさんは扇子で彩の頭を叩いていた。
 どおりで、ペチペチといい音がする筈だ。


「じゃなくてぇ!」


 彩はおトキさんの扇子から逃れる為、襖の近くまで後ずさる。


「どうして呼んだんだよ?」
「何となく、じゃ」
「はぁ!?」


 彩が聞き返すと、おトキさんはちょこんと畳に正座した。