「諒?」


 呟いて、彩は眉をひそめて周りを見渡す。
 すっかり暗くなった部屋には、電気は点いていない。
 それにしても家の中が静かすぎる。
 それだけじゃなく、誰の気配も感じなかった。


「まさか!!」


 彩はベッドから飛び降りると窓を開けた。
 強風が一気に部屋の中に吹き荒れて、さっき感じた頬の温もりを消し去る。
 嫌な予感は、大抵当たるのだ。
 彩はジャンプして屋根の上に登り、辺りを見渡した。
『free-time』の建物全体が、青い膜で覆われている。
 だがこの結界は、悠のものではない。