目を開けると、彩は自分の部屋のベッドの上だった。
 うつ伏せのまま眠っていて、アヤカシにやられた筈の背中の傷は完璧に癒され、痛みは完全に消えていた。


「ったく・・・悠のヤツ・・・」


 よっこらしょ、と両手を付いて、ベッドの上で起き上がる。
 いつの間に荒れてきたのか、強い風が部屋の窓を叩いている。
 起き上がると少し頭が痛かったが、動けない程ではない。
 彩は軽く頭を振ると、右の頬に手を当てて。


(あれ?)


 頬に微かに、温もりを感じた。
 この温もりは。