「あーやー姉ー!!」


 彩は鉄柵にしがみついて立ち上がり、諒の隣で中庭を見下ろした。
 友香の声だ。
 マイクを通して、叫んでいる。


「あたし達は、大丈夫だからねー!! ねぇ、みんな!!」


 友香がそう呼び掛けると、わぁぁぁっ、と歓声が上がった。
 悠は苦笑して。


「今回は、友香ちゃんにはたくさん助けられたね。後でちゃんと、お礼しなきゃ」


 行くよ、と悠は美樹を支えたまま歩き出す。
 諒もその後を追い、彩はもう一度中庭を見下ろして、屋上を後にした。