でも、遼君が階段から落ちたっていう

嘘を明里さんは信じてくれたみたい。

「それじゃ、ありがとうございまし

た。魔法使いさん達も…」

明里はベッドから立ち上がり、

ありがたそうに言った。

『いえいえ、仕事ですから!』

「頑張ってね。」

明里はふふっと笑って保健室から

出て行った。

「ふぅ。今回は一件落着ね。

大丈夫よ、あの子からは今回の

記憶は消えるから。」

「えっ、きえるんですか?」

緒方先生は微笑み、

「大丈夫、記憶が消えるのは

魔法を解いたら当然の事よ。」

『そうなんだ。』

無理やり消すのでなくて良かった。

そんなあたしの気持ちを先生は

読み取ったかのように、

「魔法使いは学園のヒーローだから

辛いことはさせないわよ。」

そうして、あたしたちの

魔法使いの仕事は、無事

終了した。