砂ぼこりが舞い、部屋が現れる。

「けほっ。」

むせるのは毎回のことながら、
本棚が動くのを見るのには慣れてきた。

「どうぞ。」

「うん。」

あたし達が入ると、本棚が元の位置に戻り、外からはわからなくなる。

「それで…“初仕事”って、なに?」

そうだ。あたしは、電話で遼君に

《初仕事の説明があるから。》

と、それだけ告げられて、朝早くから
学園にきたのだ。


「ああ。えっ…と。
まず、魔法使いの具体的な活動内容なんだけど、特に決まりは無いんだ。

ある事といえば…」

遼くんは、中央のテーブルに置いてある1000ページはありそうな分厚い本、
〈魔法使いの掟〉
を開き、思い出す様にして読み上げていった。


「あ、そうそう。

*魔法使いの生活の掟*

①魔女、魔法使いは、自分が魔法使いである事を他人に知られてはならない。

②魔法使いは、常に魔法使いの杖を携帯すること。

③悪魔を見つけた場合、または魔法を使う場面以外は魔法使いの杖はむやみに人に見せない事。

…これぐらいだな。」

「思ったより少ないね。」

「そうだな。これはただの生活の掟。
これから言うのは、悪魔退治の方法や決まり事だ。方法についてはー
まあ、やってればわかってくるさ。」

「そうなんだ。…続けて。」