みなみは動揺した。

「どうしよう…」




その時、鍵が再び光りだした。
何かのサインだろうか?


みなみは地面に落ちた鍵に触れた。


「わっ!」




鍵の光がみなみを包み込み、
目の前が真っ白になった。





「…ここは…?」






そこは、雲の上。


雲の上に星空が広がっていて、
どこまでも果てしなく宇宙が続く。


悪魔の城もなく、黒い雲もない。



みなみは手のひらに鍵を握っていた。

「この鍵がここに連れてきてくれた?」


みなみは自分が雲の上に立っていたことに気がついた。

「なんで立ってるの!?」

雲は雪のようにふかふかしていて、
足跡がつく。落ちるのではないかと思って怖かったが、片足でつついても地球は見えなかったので、きっと魔力が雲を丈夫にしているのだ。





『ご苦労だった。』


空に声がこだました。


「この声は、ドラゴン!」


ドラゴンがどこからかやってきた。
みなみの眼の前まで近づくと、口を大きく開けて炎を吐いた。


「熱っ!」




『ようやく悪魔の城は破られたようだ。
お前たち魔法使いのおかげだ。
ありがとう』


「いえ…この鍵が助けてくれたんです」


『お前の魔力が、その鍵の魔法を引き出したのだ。鍵の力だけではない』


「ありがとうございます」


『それで、お前は今からどこへ向かうんだ?』

「それが…わかりません。
仲間が消えちゃって、どこにもいないんです!そうだ、私はみんなを探さなきゃ!」


『そう慌てるな。あいつらの居場所なら知っている』


「えっ?どうして。」

『奴らはお前より先にここに現れて、
私が送り届けた。

お前も送るか?』


「もう!早く言ってくださいよぉ!
私、みんながどっかに消えちゃったんじゃないかと思って…」


『悪かったな。さぁ、背中に乗れ。
行くぞ』


「はい!」


みなみはドラゴンの背にまたがり、
ドラゴンは体をうねらせながら、
星空の下をゆっくりと旅した。