ほうきで飛ぶ技術はこの一ヶ月で上達し、自由自在に飛べるようになった。
安藤先生からのお墨付きである。

「見て!異空間と現実の境界が分からない!」

「今回の異空間は地球規模で広がってる。恐らく海のど真ん中まで異空間だろうね」

「悪魔はどこにいそうなの?」

「分からない、でも俺たちを狙ってくるはずだから、向こうから近づいてくるはず」

すると、大きな叫び声が空をつんざく。


「うがぁぁあぁああ」

まるで何かが痛いと訴えるような。

「あれだ!」

雲の隙間から、ドラゴンのような生き物が細長い体をうねらせながら地上に降りてくる。

ドラゴンの緑色の鱗がキラキラと光っていて、その眩しさにみなみは目を細めた。


ぐおおおおおおぉ


くぐもったその呻きは幾度となく繰り返され、私達はその大きな呻きに圧倒されるばかりだった。



「こいつが悪魔なのか?」

遼は降りてくるドラゴンを見つめていった。

ドラゴンは大きかった。視界に入る限りでは100mはある。尾の方が雲に隠れていて見えないから、実際はそれ以上だ。


ドラゴンは空に向かって火を噴いた。


「あつっ」

2人を熱い風が体を包む。
炎は雲を消し、ドラゴンの全体が見えた。