満月の夜。

オオカミが月に向かって泣いている。

「遼君…準備はオッケー?」

「うん」

私達は魔法使いの制服を着る。
杖を持って、ほうきをもって。


空は曇り、しかし明るい。
月明かりが異様なまでに地面を照らし、
まるで昼のようだ。
ただ、空だけが黒く覆われ、
今にも雨粒が頬をかすめそうだった。


魔法使いの部屋 で、私達は握手をした。

「これが最終決戦。命かけて挑むぞ」

「もちろん」

そして、遼は握手したみなみの手を引いて抱きしめた。

「みなみのこと、大好きだから
愛してるって言いたい
でも、それは俺が魔法学校を出て
世界の魔法使いになったら。
それまで待っててくれる?」


「うん!」

私は元気よくうなづいた。

ゴロゴロゴロ…
雷が空を貫く。

「さっそく現れたみたいだね」

遼君はほうきにまたがり、窓から外へ飛び立つ。私もほうきにまたがり後を追う。