「ねぇ、あんなこと言って大丈夫だったの?」

生徒会室をでた私達は、園庭を手を引かれたまま歩いていた。

「みなみ」


「何?」


遼は振り返ってみなみと向き合った。

「俺は、レベル5になったら、魔法学校に行こうと思う」


「魔法学校!?」

「あぁ。山奥にある大きな学校だ。
そこへの入学資格はレベル5であること。だから俺は、レベル5にならなきゃいけないんだ。わかる?」

遼はみなみをうかがった。
みなみはその視線から逃れるように俯いた。

「魔法学校なんて…知らなかった。
私は…遼君が魔法学校に行ったら、
私はどうなるの?」


「それは…」

「私、一人ぼっちになっちゃうよ」

「うん」

遼は笑った。痛々しい程元気に。


「だから、みなみも1人で頑張れるようにレベル5になっておけば安心だろ?
レベル5になったら、どんな悪魔も倒せる。」

「そうだけど…」

遼君がいなければ私、魔法使いなんてなりたくなかったし、興味さえなかった。
遼君がいたから私は。

「そういうことだから、俺たちレベル5目指して頑張ろうな!」

遼はいつも通りの笑顔で拳を突き出した。

私はそれに拳を合わせてしまったら、
本当に遼君はどこかに行ってしまうことを認めるような気がして、何もできなかった。俯いていた。