「いやー、昨日は凄かった」
佐野が黒板に何か書きながら言った。

「ねぇ、あれは全部幻想だったの?」

真木は言う。
ここ、生徒会室では反省会が行われていた。


昨日はあれほどの戦いをしたのに、もう街は元どおり。
校舎にも傷一つない。


「あれは異空間だったんですよ。
悪魔が作り出した「ヒト」が水の塊であったように、あの異空間での街は偽物、パラレルワールドとでもいうんでしょうか、そんなものですよ」

高尾が説明した。

「次の満月も何か嫌な予感がします」

私は何気なくつぶやいた。

「どうして?もうポルターガイラーは全滅したし、リーダー格の悪魔も消滅した。あなたたちはレベル4になって、倒せる悪魔は増えた。これで終わりじゃない?」

真木は不安を掻き消すように言った。

「でも…私たち、レベル5にはまだ立ち向かってないんです。だから、私はレベル5を倒したい。レベル5になりたい。
もしそれが危険だったとしても」


「おい、あまり焦らない方がいい。
レベル5に勝とうとしたら身の危険がある。命も落とす可能性だって…」

「俺もです」

高尾の声に被せて遼が立ち上がる。

「お前な…分かってるのか?
レベル5は学園長くらいしかいないんだぞ。お前らがレベル5になれるかなんてまだ分からないし」

「分かってますよ、力不足かもしれないってことは」

遼が高尾の前に立つ。

「だったら大人しくしてろ」

高尾は座ったまま、冷静さを保っている。

「…俺は…俺たちは、レベル5になりますから」

遼はそう宣言すると、
みなみの手を引いて生徒会室を出て行った。