ぴっ、と杖の先から火が出たが、
ヒトの足元は水であるから、全く効果がなかった。


すると、みなみに気づいたヒトが足を上げてみなみを踏み潰そうとする。

「危ない!」

倒れこむと、遼君が私に覆いかぶさって
いた。

「大丈夫!?遼君!」


「あぁ…」


遼君はぎこちなく立ち上がると、
杖を振り上げた。


「電撃よ、走れ!」

ヒトの足にむかって放たれた
遼君の電撃は見事にヒットした。

【ぐぉおおおぉお】

ヒトがうめき声をあげる。

「分かったぞ、こいつは電流に弱いんだ」

「3人で合力しましょう!」

私と高尾先輩と遼君が杖を合わせ、
呪文を唱える。

ビビビッ

電流は太い柱のようにヒトを貫き、
ヒトの塊が少し崩れて小さくなった。

「よし、いけるぞ!」

と高尾先輩が言った途端、
ヒトは炎を吐き出した。

学園の庭が炎に包まれる。

私たち3人も、炎の輪の中になってしまった。

「こいつ…」

「こちら佐野。
高尾先輩、急いでください!
ポルターガイラーの侵入を食い止めきれず、学園が大地震になってます!
崩壊も逃れられません!」

高尾のイヤホンから佐野のアナウンスが入る。

「急ぐぞ」

高尾先輩の声で、
私たち3人は電流攻撃を何度もヒトに行った。

園舎がごごごごと揺れる音がする。

崩壊する前にヒトを倒さなければ!

続く電撃に慣れたヒトは、
素早く電撃を避けられるようになり、
なかなかダメージが与えられない。