「これは…」

息を飲む遼君につられ、あたしも
部屋の中に入る。

『ひっっ』
あたしは、驚きというより、恐怖の
声を漏らした。

音楽室にある椅子、机、棚、楽器、
その全てがガタガタとひとりでに
動いていたのだ。

それは、何かに取り憑かれたように
動き回っていて、もう誰にも止められない。

まるで全てが悪魔に見えた。