「…なんだ、そんなこと?」

佐野君は、頭を手でくしゃくしゃっと
しながら言った。

『えっ?そんな事って…』

あたしはばっと顔をあげた。

「だってさ、俺が銀の鍵をもってたんだよ?赤羽があのまま探してても、
見つかるはず無かっただろ。」

佐野君は、あたしに優しくいった。

『そっ…
そう…かも、しれないけどっ。』

あたしはそれに反抗した。

「いいの。
そういう事にしといてよ。
俺がいいって言ってんだから。」

佐野君は、あたしの髪の毛を
くしゃくしゃにした。

『うん。ありがとう。」

これでいいんだ。

そう確かめるように、
佐野君は笑った。