リヒトの隣。

それは、リヒトと話せと言ってるようなもの。

普通なら、あんな怖い人と話そうなどと思わないであろう。

けれど、アニスは違った。

席に着いた瞬間、口を開いて行った。

「おい。リヒトさっき口だしてくれたのは有り難いが、3、4分無駄になった。
じぶんのもんだいは自分で解決しなきゃ成長しない!だから、これからは勝手に口出しをしないでくれ。ほんとにありがとな。」

誰もが無視すると思った。

と思ったとたん口を開いた。

「3分34秒。」

リヒトはぼそっと言った。

ーー先生の話さえ無視するリヒトさんが、喋った!!!!!!!!ーー

クラスの人は、驚く事すら出来なかった。

「3分34秒?なんのことだ。」

ーアニスさんいいかえした!ー

「お前が沈黙を破るまでの時間。」

ーリヒトさーん!何答えちゃってんの??ー

トアは頭の中で突っ込んだ。

「チッチッチ!惜しいねリヒト!3分34.23秒だよ!」

アニスは笑いながら言った。

ーえ??数えてたの??何この人??ー

またもやツッコミが入る。

その時のリヒトはと言うと、なんと大爆笑していた。

ーーええええーーーーーーー???ーーーーーー

もう突っ込みどころじゃなくなった。

「ハハハっ!お前面白いな!アニス。気に入った。確かに3分24.23秒だったんだよ。
こんな事に気を使う人初めて見たよ!ハハ!」

「何が起きてるかあんま意味わかんねーけど、ありがと!」

そして次の日、この話は噂として全校に駆け巡った。

これがアニスを有名にしたきっかけだった。