瞬爾は、通勤に車と電車 の両方を使う。
仕事の都合で、通勤手段を変えるけれど、私は電車通勤が好きだ。
だって…。
「この時間も、まだ人は多いな」
と、瞬爾は必ず立つ時には、私を庇う様に立ってくれる。
特に、周りに男性が多い場合は、ほとんど抱きしめる様に立ってくれるのだった。
それが嬉しくて、電車通勤が好きなのだ。
「瞬爾って、いつも優しいよね。こうやって、電車でも気を遣ってくれるんだもん」
今夜も、その胸に軽く顔を埋める。
程よい揺れが、瞬爾に体を預けるには最適だった。
「そうでもないよ。俺はただ、他の男が莉緒に触れるのが嫌なだけなんだ」
優しい眼差しで、見下ろす瞬爾に笑顔に胸が高鳴る。
「瞬爾…」
それは私も一緒なのに。
他の誰でも嫌。
瞬爾でないと、触れられたくはない。
こんな風に、いつだって気持ちをストレートにぶつけてくれる瞬爾に、私はきっとずっと恋をする。
早く家に帰りたい。
早く二人きりになりたいよ…。

