わたしから、プロポーズ



私の左手薬指が、名実ともに輝く日はいつなのだろう。

瞬爾から貰った指輪は、ずっと箱の中で眠ったままだ。

結納の日は、未だ決まっていなく、式場も決められていない。

実は、次の私の誕生日は休日だった。

だから、式場は早く決めないといけない。

人気のある場所から埋まる可能性があるからだ。

だけど、どうしても話を進められないでいる。

「帰りました~」

今日は朝から取引先に直行し、社内に戻った時には夕方になっていた。

帰り際、チェックした個人携帯には、ヒロくんから木下部長の送別会の日程と場所が、メールで送られていた。

結局、英語の勉強はそのままになっていて、あの日以来、実現していない。

そして、営業で回るには、半月後まで予定になかった。

だから、ヒロくんには会えないままで、送別会で会えるのかと思うと、それはそれで緊張する。

「後で返事をしておこう」

すっかり疲れてデスクに戻った瞬間、遥が待っていましたとばかりに駆け寄って来たのだった。

「ちょっと、莉緒!何で教えてくれなかったの?伊藤課長と結婚するんでしょ?」

興奮気味に話す遥に、こちらは目が点になる。

「ちょっと、遥ってば何を言ってるのよ」

「誤魔化さなくたっていいのよ。みんな噂してるんだから。プロポーズされただなんて羨ましい」

顔を赤らめて、遥は宙を見上げている。

「ちょっと待ってよ。誰から聞いたの?」