思えば、甘い夜は久しぶりだ。
気まずい空気が流れていた私たちは、ここ数日アッサリとした夜を過ごしていた気がする。
だからか、余計に今夜は燃える。
素肌を、重ねても重ねても足りない。
どんなに抱きしめても足りなくて、愛の囁きが溢れるほど欲しくて、どんどん欲張りになってくる。
体を重ねると吹き飛ぶ不安も、また冷静さを取り戻した時には、襲いかかるのだろうか。
甘い声を上げながら、瞬爾に身を投げるこの時間こそ、何より幸せを感じる。
「莉緒、俺は絶対に莉緒を離さないよ」
呼吸を乱した瞬爾が、私を見下ろしながら言った。
「うん…」
そうだよ。
離さないで。
私の不安を吹き飛ばして。
お願い。
瞬爾は結局、今夜の私の行動を問い詰める事はなかった。
気にしてくれない事に寂しさを持ちながらも、問い詰められたところで答え様がない。
だから、聞いてくれない方が都合がいいくせに、それに寂しさを感じるなんて。
本当に、私はどこまでも身勝手だ。

