「え~と…。英語、英語」
自宅に戻り、本棚の奥を漁っていると、すっかり眠っていた英語の本を見つけた。
「実家から、持って来ておいて良かった」
勉強はおろか、開く事すらなかった本だけれど、ヒロくんとの再会で思い出した。
中学生から大学生の頃までは、本気で英語の勉強をしていて、仕事に活かせるものだと思っていたのだ。
だけど、現実の厳しさを前に、あっさりと夢は破れたのだった。
「何でも私は、現実を見ていないんだわ」
自分の将来も結婚も、漠然と夢に見るだけで…。
「もう一度、勉強してみようかな…」
本を3冊ほど手に取った時、玄関のドアが開く音がした。
「莉緒?どこだ?」
瞬爾の声がして、慌てて玄関へ向かう。
「お帰りなさい、瞬爾」
両手に抱える様に持っている英語の本に、瞬爾はすぐさま目をやった。
「何だ?その本は」
「英語の本よ。学生の時に使っていたのを思い出して」
「へえ…。それを、今さら何で?」
瞬爾は、どこか不審そうな顔だ。
「勉強しようかなって。私、これでも学生の頃は英語が得意だったのよ」
ヒロくんとの再会で、忘れていた気持ちを思い出してきた。
確かに私にも、夢はあったと…。

