わたしから、プロポーズ



ヒロくんとの再会は、私の昔の夢までも、思い出させるものだった。

“世界をまたぐキャリアウーマンになる”

それは確かに、私が夢に描いていた事だ。

「じゃあ、またねヒロくん」

木下部長は外出中らしく、最後までヒロくんと二人きりだった。

だけど、まるで違和感がない事が不思議だ。

むしろ、楽しいばかりの時間だった気がする。

「ああ、じゃあな。次は、木下部長の送別会だな。そうだ、莉緒。携帯の番号を教えてくれないか?」

「そうだった。ごめんね。肝心の連絡先を言ってなかったよね」

慌ててカバンから携帯を取り出すと、ヒロくんはケラケラと笑ったのだった。

「会社の方じゃなくて、プライベートの方なんだけどな」

「えっ!?こっち?」

少し恥ずかしくて、誤魔化しながらプライベート用を取り出す。

「もちろん、良ければだけど」

「いいに決まってるじゃない」

まだケラケラ笑うヒロくんに口を尖らせると、その口を軽く突かれた。

「変わってないな。その天然キャラは」

「天然じゃないって」

懐かしいやり取りに、忘れていた想いが蘇ってくる。

私たちは連絡先を交換すると、その場で別れた。

瞬爾にプロポーズをされているというのに、それを隠した挙げ句、ヒロくんとの再会に胸を踊らせている。

そんな私には、いつか罰が当たるのだろうか。