わたしから、プロポーズ



「そういえば莉緒。中学の頃に言ってた夢は叶ったのか?」

「夢?」

「ああ。言ってたろ?大好きな英語を特技にして、世界をまたぐキャリアウーマンになるって」

そう言われて、思わず吹き出した。

それは私が、中学一年生の頃に言っていた夢だ。

まさか、覚えていてくれていたとは意外だった。

「ヒロくん、覚えてたの?だんだん、身の程を分かって諦めてたのに」

「諦めた?莉緒の会社は、海外事業部もあるんだろ?だから、入社したんだと思って聞いたんだけどな」

「ううん。私には無理よ」

もし赴任されるとしたら、瞬爾の方だと口に出そうになり飲み込んだ。

「私は所詮、普通の会話レベルだから。でもね、学生の時にロンドンに短期留学はしてたのよ」

「そうか!それは凄いな。さすが、莉緒。よしよし、頑張ったな」

と言って、ヒロくんは私の頭を撫でた。

それは遠い昔、小さかった私に、ヒロくんがしてくれていた事だ。

何かを頑張ると、必ず頭を撫でてくれていた。

その思い出が蘇り、胸がキュンとなる。

「温かい手、少しも変わってないね」

ヒロくんの手を取ると、大きくてゴツゴツとしている。

すると、ヒロくんはその手で私の手を握り返したのだった。

「莉緒も変わってないよ。明るくて、どこかハニカム笑顔は昔と同じだ」