フローリングの廊下を抜けると、明るいリビングへと出た。
ちょうど庭が見える様になっていて、そこにも花が植えられている。
対面キッチンは綺麗に片付けられていて、リビングに置かれている背丈ほどのチェストの上には、写真立てが飾られていた。
「これ、結婚式の写真だ…」
思わず口にすると、キッチンでお茶の準備をしている和香子が返事をした。
「そうなの。その写真立て可愛いでしょ?結婚祝いで貰ったものなんだ~」
「へぇ…」
確かに、卵形の写真立ては、周りにラインストーンが散りばめられている。
いかにも可愛い感じで、写真の中の笑顔の二人がより幸せそうに見えた。
「旦那さん、感じのいい人だよね。優しそうで…」
「莉緒に言われると素直に聞けないなあ。伊藤課長と順調なんでしょ?」
お盆に紅茶とクッキーを乗せて、和香子はリビングのガラステーブルに置いた。
遥はすっかりくつろいでいて、私たちの会話を楽しそうに聞いている。
最初はここへ来るのを嫌がっていたくせに、結局楽しそうだ。
「うん…。順調だよ。和香子は?新婚生活はどうなの?」
ここまで来て、まだ想像がつかない。
私と瞬爾の結婚生活が。

