そりゃあ、“美味しくない”なんて言わせない。
実は、社会人になるまでは実家暮らしで、料理なんてまるで出来なかった。
それを、瞬爾の為に地道に努力を重ねてきたのだ。
さりげなく、好みの味をチェックし、瞬爾の口に合うように作っているのだから。
美味しいに決まってる。
「俺も手伝うよ」
そう言った瞬爾は、テーブルにコップやフォークを並べてくれた。
こういうさりげない気配りが出来るところも、私が結婚にこだわるポイントだった。
瞬爾の様な優しい人との結婚生活は、どれだけ幸せなのだろう。
想像するだけで、顔がニヤけてくる。
「はい!出来上がり!」
二人分のオムレツをテーブルに置くと、瞬爾は笑顔を向けてくれた。
「本当に美味しそうだな。いただきます」
そう言うと、残らずオムレツを食べてくれたのだった。
「美味しかったよ。ありがとう」
その言葉は私に、また一つ自信をくれたのだった。

