私たちが住んでいる場所は、中心地から電車で15分の所にある。
アパートやマンションが建ち並んではいるけれど、住宅街というほどの落ち着きはない。
駅から近い事もあって、周辺にはスーパーやコンビニ、それに病院などもあり人の往来は激しいかった。
その駅から徒歩1分ほどのマンションに、私たちは住んでいる。
10階建ての賃貸マンションで、2LDKのごく一般的なものだ。
元々は瞬爾の部屋だっただけに、家具は全てモノトーンで統一されている。
「瞬爾、ゆっくり着替えてきてね。私、ご飯を作るから」
白いエプロンを身につけ、急いで冷蔵庫の中身をチェックする。
「う~ん…。さすがに買い物に行ってないもんなぁ」
中には卵と牛乳、そして野菜が数種類あるくらいだ。
「オムレツ…?かな」
あんなに“作る”と豪語しておいて、オムレツなんて簡単過ぎたかもしれない。
と思いつつも、調理を始めると、ルームウエアに着替えた瞬爾がやって来た。
「さすが莉緒。手際がいいな」
手元を覗き込み、感心した様に瞬爾が言ってくれた。
「ありがとう。ただ、オムレツなんだけど…」
「いいよ。こちらこそ、ありがとう。莉緒の作る料理は美味しいもんな。楽しみだよ」

