「あのさぁ・・・水蓮寺さん・・・」
「何ですか・・・?」
「俺のこと、“橘さん”って呼ぶのやめてくんないかな?」
正直、どうして橘さんがそう言うのか私には理解出来なかった
そう思ったのは、私だけじゃ無かったようで
麻理も、嶺夜さんも、不思議そうに橘さんの方を見ていた
「う゛・・・ 麻理ちゃんも、嶺夜も、そんな目で見てくんなよな~・・・」
「いや・・・いきなり美咲がそう言うなんて・・・・」
「そうだよ・・・・何か変なもの食べた訳?」
「ちょっ・・・麻理ちゃんひどっ!」
アハハと周りは笑いに包まれた
でも・・・・話が逸れていってる様な気がするのは、私だけなのだろうか・・・?
「で・・・話を元に戻すけど・・・」
「それが聞きたかった!
何で、萌歌にそんなこと言ったの?」
「だから・・・あれじゃん・・・」
「何だよ ハッキリ言えよ」
「ちょ・・・嶺夜怖いから」
同感である・・・
ちょっと、嶺夜さんの周りの空気が一瞬冷えたような気がした
「水蓮寺さんってさ・・・
麻理ちゃんは麻理、嶺夜は嶺夜さんって呼んでるでしょ?」
「はい」
「で・・・
このいつメンの中で、俺だけ水蓮寺さんに名前で呼んで貰ってないんだよ」
「確かに~」
「言われてみると、そうだな・・・」
「だから、名前で呼んで欲しいなぁ・・・てさ・・・」
「・・・・・・・分かりました」
「マジで!?
よっしゃぁーー!!」
そう言って喜ぶ美咲さんの事を・・・
嶺夜さんは、呆れたように・・・
麻理は・・・・嬉しそうな・・・それでいて悲しそうな表情で見つめていた

