「・・・んじゃ、もうすぐ暗くなるだろうし、帰るか。」

「うん。」


俺は理緒が鞄を持ったのと反対の手を握った。

絡まる指に愛しさを感じて、やっぱり顔がにやけてしまう。

あー。思った以上に俺は理緒にベタ惚れみたいだ。


「また顔が変だよー。」


くすくす笑いながら頬を少しだけ赤くした理緒が言う。

そういう理緒だって、顔がにやけてるぞ?


「・・・なぁ、理緒。」

「なーに?」


外はいつの間にか雨はやんで、キレイな夕焼け空が広がっていた。

オレンジ色に染まる街の中で理緒の瞳もオレンジに染まる。

キレイなオレンジが俺にしっかりと向いた。

一瞬、逸らしそうになってしまったけど、俺もしっかり見つめ返して言ったんだ。






「ずっと俺のそばにいろよ。」


「・・・っ!」





オレンジから溢れた雫は、まるで真珠のよう。

そっと抱きしめた温もりをずっと守り続けるよ。





- end -