- 日留川 久遠 side -



クイッ…



軽く、服の裾を引かれてゆっくりと顔を向けた。


『……?』


左を見ると花崎愛奈がジッ…と見てきた。




何だ?


と思った時だった。





「久遠……どこに行くの?」




『っ……』



やばい。


反則だろ……。



小柄な体型の花崎愛奈。

目が大きくて可愛らしい顔立ちをしている。


本人は普通に話しかけているつもり……だろう。


けど上目遣いになっている。




「……久遠?」


『っ……え、えと……TK、に…行く……』


吃驚した。

俺は普段、女にドキドキすることなんてない。

だから余計に焦った。