『ここから逃げて』 「え、でも……」 今にも泣きだしそうな湊と、顔を歪めている秀樹に構うことなく続ける。 『ここからまっすぐ進んで行けば扉がある。倉庫から少し離れた公園の倉庫に着くから』 「……湊、行くぞ」 「でもっ……」 なかなか首を縦に振らない湊。 どうしてそこまでわたしなんかに気を遣うのか。 『早くしないと奴等が来る』 「湊っ、今は逃げるしかないんだよっっ!」 「っ……必ず、助けに来ますっ」 湊は一粒の涙を零した。 『……』