「いってきまーす!」

「はーい。気を付けて行ってきてね!」

「うん!」

私は桜庭 栞、14歳です。
この春、受験生になりました!

「お!栞、おはよ」

「あ、優ちゃん!おはよー」

この人は優ちゃん!
あ、藤川 優斗っていって私の幼なじみなの。

「栞も今日から受験生か。大変だなー」

「優ちゃんは今日から高校生か。大変だなー」

「そうだぞ。高校生は大変なんだから!」

「受験生も大変ですー!」

優ちゃんとそんな言い争いをしてたら
ふと、優ちゃんの腕にある時計が見えた。

「え、何それー?」

興味津々に見つめると

「あ、これ?いいだろー!」

ホレホレ、と時計を見せつけてきた。

「え、いいなぁ!ちょっと貸して!」

「だーめ!お前に貸すとすぐ壊れるから!」

と言いながら、大事そうに鞄の中にしまった。