…冬。
寒さが厳しい季節…と同時に一年の終わりの季節。

「うー…」

「なに唸ってるの?林檎」

篠塚林檎、17歳。只今絶賛唸り中。
私に話しかけたのは親友の真山美麗ちゃん。
名の通りまぁ美しい方で。
私なんかが隣に立っちゃいけないお方だと思う。

「また蒼空先輩ですか」

「ざっつらいと」

私はフードを深く被る。
美麗ちゃんは私の思ってる事をよく当てる。
「超能力者!?」と最初は毎日のように聞いていた。
聞く度呆れた顔をしていて、未だになんで呆れた顔をしてるのかわからない。
美麗ちゃんはいつも「わかりやすすぎ」と答えるだけで何も言ってくれない。

「あ、ほら。蒼空先輩いるよ、あのメガネ」

「ホントだ…!」

外は真っ白な銀世界。
男子達が雪合戦をして遊んでいる。
その中に蒼空先輩も混じっていて、一際目立つ。
真っ白な雪がこんなに合う人はいないだろう。

「あーっ!蒼空先輩と虹希先輩だよ!!2人ともチョーかっこいーっ!!」

クラスの女子が騒ぐのも無理もない。
だって理想の先輩だもん。
私には程遠い人…

「あー、また泣いてる」

「うるさい、涙腺弱いだけだし」

「ホントにそれだけー?クラスの女子が騒いでるの見て嫌なんでしょ」

…鋭い、流石…
そりゃ…私の蒼空先輩じゃないけど、好きな人が騒がられてたら胸が痛くなるじゃん?

私は胸に手を当て外を見るのをやめて一息つく。