中島君は、学校で一番モテる人で、そんな彼は、廊下を歩いただけでもみんな声を上げてしまう。

告白だって何度もされてる。

私も何回か見たことがある。

女の子が、頬を赤らめながら必死に想いを伝えている様子を・・・。



なのに、中島君に彼女ができたっていう話はひとつも聞かなくて・・・。

“ずっと好きな人がいるらしい”とか“女に興味ないらしい”とか、どれが本当でどれが嘘なのか、私は分からない・・・。


それに・・・

「ねえねえ、中島君ってめったに笑わないよねー何でだろ?」

咲が不思議そうにつぶやく。

中島君が笑うことはめったにない。

いつもクールな表情で、怒った顔も、悲しい顔も、誰も見たことがない。

「私、見てみたいなー!!中島君が笑ったところ」

咲は興味津々な様子で言う。

それを私は、笑いながら見つめる。


中島君の笑顔・・・誰も見たことがない笑顔・・・。

・・・私はその笑顔を・・・たった1度だけ見たことがある。

それはずっと前のことだから、きっと彼は忘れてしまってる・・・。

それでも私は、今もずっと覚えてる。


あの・・・夏の日を・・・。