「和幸さん」


葬儀が終わって一週間後だった。



父が出張から帰って来るはずだったその日。


学校から帰った僕を待っていたのは由美子だった。



母親ではなく一人の女になった彼女は、

僕を和幸とよんだ。








ねえ、お母さん

かづきだよ?




そんな事は口にできなかった。

女の顔になった母。