俺はこわくない!!




「わぁ……!!」

 次の瞬間起こった事に、最初に反応したのはミカだった。

 町中がランタンの灯りに照らされ暖かな雰囲気に満ちーー空から、小さなパラシュートでゆらゆらと、色とりどりのお菓子が降ってきた。

「これ、あたしの願い事だわ……!」

 ミカの言うとおり、これはミカの願い事だった。『空からお菓子が降ってきたら、キャンディーを見つけられなかった人も一緒に、みんなで、ハロウィンを楽しめるかな』それが、ミカの考えていたことだ。ーーまったく、ミカらしい。

「とっても嬉しいけど……いいの?ダネルの願い事は?」

「俺の願いも叶った」

「え、そうなの?いつ?」

 ゆらゆらと、目の前に降ってきたお菓子を手に取り、ミカに差し出した。

「わぁ……ありがとう!」

 とても嬉しそうに笑ってくれる。

「今」

「へ?」

「ーーほら。カインとウィルが呼んでるぞ。競争に負けて、カインはうるさそうだな」

「あ、競争してたんだっけ。なだめなきゃね」

「ああ」

 楽しそうに、ミカは二人の方に走っていく。

「珍しい願い事をしたわね」

 声に振り返ると、クイーンゴーストがにやにやしている。

「……悪いか」

「いいえ?とても素敵な願い事だったわよーーそれじゃ、いいハロウィンをね!」

 そう言い残して、クイーンゴーストは住民たちの方へと行ってしまった。

 自分が口にした願い事を思い返して、顔が熱くなる……。

「ダネルー!なにしてるのー?」

「なんでもない。今行く!」

 俺は、こう願ったのだ。

『ミカの笑顔が見たい』とーー。



         Happy Halloween!!